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ら時空
ら時空_額装.jpg

トレーシングフィルムにアクリル絵具

33×13cm(クリアボックス額装:40×20cm)

 

このラインは平仮名「ら」が現代に生き残るまでに関わってきた時空を意味する。

 

「良」を字母とする「ら」が今の姿で平仮名として使われるまでには複雑な歴史を経ている。

3000年以上前に中国で産声を上げた漢字が約1500年前に日本に伝わり

そこから時を経て日本語を自由に表現できる文字として仮名が生まれた。

例えば「ら」という音なら「羅」を字母とする平仮名も場面に合わせて自由に使われた。

しかし明治時代の教育の近代化に伴い「ら」という音には今使われている「ら」があてられるようになった。

そして戦後にできた規則により一音一字は定着した。

そうした変遷はほとんど知られていないが「ら」という文字は現代まで生き続けている。

平仮名という文字は有機的な事象なのではないか。

 

この宇宙の片隅で翻弄されながらも生き残る平仮名は、今に生きる日本人の姿に重なる。

「み」の事情
「み」の事情

トレーシングフィルムにアクリル絵具と油性色鉛筆
31×14cm

平仮名の「み」は、漢字の「美」を字母としている。そうなるまでに、歴史や地勢といった事情をはらんで、いろいろな姿を経てきた。
それは、日本人がたどってきた道のりと重なる。これから先「み」はどんな姿になってゆくのだろう。

 

「や」の事情
「や」の事情_29×29.jpg

紙にアクリル絵具と油性色鉛筆

29✕29cm

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平仮名の「や」は「也」が字母だ。ものの本によると「まがりくねる、ずるずる延びるさまを示す。さらに紆余曲折を経た結果、そうであると判断を示す助詞。または疑問、反語、詠嘆などの助詞に使う。」とある。

「也」が「や」になるまでには歴史や地勢といった、内外の事情をはらんでいる。

それは今の日本人がどんな紆余曲折を経て来たかに似た事情なのではないか。

「や」と堂々と叫んでみたいものだ。

「ゐ」の事情
「い」の事情_Φ15.jpg

アクリル板にアクリル絵具
Φ15cm
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平仮名の「ゐ」は「い」と読む。音が「い」と同じだから現代の日本語で「ゐ」はほとんど使われない。
「ゐ」の字母は「為」だ。「以」を字母とする「い」とは違う字だ。こうなるまでに歴史や地勢といった、内外の事情をはらんでいる。
ますますデジタル化して統合されてゆく社会のなかで「ゐ」の存在はどうなっていくのだろう。
それは今の日本人がどんな存在なのかに似た事情なのではないか。

「こ」の事情
「こ」の事情_21.5×12.jpg

アクリル板にウレタンゴムロープとアクリル絵具
21.5×12cm
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平仮名の「こ」は、今使われている形になるまでに、いろいろな姿を経てきた。

ここに書いたのは「己」を字母とした「こ」だ。
こうなるまでに歴史や地勢といった、時空をまたいだ事情をはらんでいる。
ますますデジタル化してAIによって統合されてゆく社会のなかで「こ」はどんな姿になってゆくのか。
それは今の日本人がアイデンティティをどう捉えるかに似た事情だ

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