作品 Works
トレーシングフィルムにアクリル絵具とマーカー
24×20cm
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「無」を字母とする変体仮名の「む」。日本に渡って仮名になり、そして今では使われなくなった。意味が漂白されたこの文字を書く。
2次元のその姿に時間と空間を越えた高次元の意識を見る。
そして、3次元の私に在り方を問い掛けてくる。
40×20cm
トレーシングフィルムにアクリル絵具とペイントマーカー
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「阿吽」は神聖な意識だ。「阿」はこの世の「始まり」、「吽」はこの世の「終わり」。始めの迷い苦しみを経て、この世はやがて一体化することを意味する。
発音する時「阿(あ)」は口を大きく開け「吽(うん)」は口を固く結ぶ。この作品では漢字の「阿吽」の口だけをかき、時空を意味するラインで結んだ。
時空は私達が生きる世界だ。それは幾多の命が生まれ死にゆく営みの場だ。さまざまな混乱や対立を経て、やがて調和にたどりつくのだろう。
アクリル板にジェッソとアクリル絵具とペイントマーカー
80×25.7cm
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変体仮名で「たび」とかいた。字母は「多飛」。変体仮名は昔の平仮名だ。一つの音に対していくつかの字形があり、その時の美意識に従って字形を選ぶことかできた。この作品の場合なら「旅」を意味する「たび」だ。
言葉に対して文字を選ぶ自由が変体仮名にはある。筆の運びも疎密も自由だ。意識を強く表すこの文字を現代にかく。デジタルで世界中のフォントが軽々と飛び交う時代だからこそ、全く合理的でないこの文字をかきたい。なぜなら、日本人の意識の変遷の歴史をこの文字が反映しているからだ。
「旅」には始まりと終りがある。その間にある時間と空間は新鮮で貴重な体験をもたらす。「た」と「び」の間にかかれたラインは、「旅」の限られた時空を意味する。自分で計画したプランと、思いがけない出来事が交錯して、いろいろな感情が生まれる。そして最後に帰宅してホッと家はいいなあと思う。
人生という旅もきっと同じだろう。この世に生を受けて旅をし、いずれ生まれる前に帰る。いま自分が在る時空を体験しつくして、ホッとして帰りたいものだ。
トレーシングフィルムにアクリル絵具とマーカー
30×29cm
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変体仮名で「たび」とかいた。字母は「多飛」。変体仮名は昔の平仮名だ。一つの音に対していくつかの字形がありその時の美意識に従って選べた。この作品の場合なら「旅」を意味する「たび」だ。
言葉に対して文字を選ぶ自由が変体仮名にはある。筆の運びも疎密も自由だ。意識を強く表すこの文字を現代にかく。デジタルで世界中のフォントが軽々と飛び交う時代だからこそ、全く合理的でないこの文字をかきたい。なぜなら、日本人の意識の変遷の歴史をこの文字が反映しているからだ。
「旅」には始まりと終りがある。その間にある時間と空間は新鮮で貴重な体験をもたらす。「た」と「び」の間にかかれたラインは、「旅」の限られた時空を意味する。自分で計画したプランと、思いがけない出来事が交錯して、いろいろな感情が生まれる。そして最後に帰宅してホッと家はいいなあと思う。
人生という旅もきっと同じだろう。この世に生を受けて旅をし、いずれ生まれる前に帰る。いま自分が在る時空を体験しつくして、ホッとして帰りたいものだ。